2026-10-03
賃貸・アパートの遺品整理|退去期限までにやることと進める順番
賃貸のアパートやマンションで一人暮らしをしていた親族が亡くなると、気持ちの整理がつかないうちに「部屋をいつまでに空ければいいのか」という問題が先にやってきます。持ち家と違い、賃貸には家賃と退去日という、外から決まる期限があるからです。
最初に知っておきたいのは、一般的な民間の賃貸の契約は、借りていた方が亡くなっても自動的には終わらないということです。相続人は、亡くなった方の財産に属した権利義務を引き継ぐとされており(民法896条)、部屋を借りる権利もその中に含まれます。そのため、解約して契約が終わるまで、家賃は発生し続けます。県営・市町営などの公営住宅は手続きが別なので、管理している県・市町の窓口に確認してください。
ただし、「終身建物賃貸借」の契約は例外です。この契約は、借りていた方が亡くなった時点で終わり、借りる権利は相続されません。同居していた配偶者や60歳以上の親族は、亡くなったことを知った日から1か月以内に事業者へ申し出れば、住み続けられる場合があります。この契約では、解約の手続きや解約までの家賃を前提にせず、明け渡しの期限と残された家財の扱いを事業者に確認してください。どちらの契約かは、契約書の表題や管理会社への確認で分かります。
もう一つ、契約の種類にかかわらず大事な点があります。相続放棄を検討している方がいる場合は、解約や家財の処分に手を付ける前に専門家へ相談してください。 相続財産を処分すると、相続を承認したものとみなされる場合があるためです。また、契約の時点で「死後の解約や残された家財の処理を任された人(受任者)」が決められている場合は、その方が手続きを担う取り決めになっていることがあります。
この記事では、退去期限までにやることを、相続人で確認してから進める順番に沿ってまとめます。遺品整理を始める時期そのものの考え方は、遺品整理はいつから始める?四十九日前後の考え方と進める順番で説明しています。
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まずやること:管理会社・貸主への連絡と契約書の確認
管理会社・貸主に亡くなったことを伝える
最初の連絡先は、部屋の管理会社か貸主(大家さん)です。亡くなったことと、相続人の連絡先を伝え、解約の手続き(終身建物賃貸借なら明け渡しの手続き)、退去日の決め方、鍵の返却方法を確認します。
この段階では、「解約します」と決めて伝える必要はありません。相続の方針がまだ決まっていない、相続放棄を検討している方がいる、といった事情があれば、そのまま伝えて進め方を相談してください。事情を早めに伝えておくと、退去日を調整できる場合があります。
県営・市町営などの公営住宅は、入居の承継や退去の手続きを管理する県・市町が定めています。民間の賃貸とは手続きが違うので、管理している窓口に確認してください。
契約書で確かめる5つの点
亡くなった方の書類の中から賃貸借契約書を探し、次の点を確認します。見つからない場合は、管理会社に写しの有無を尋ねてください。
- 契約の種類 — 「終身建物賃貸借」の契約なら、借りていた方が亡くなった時点で契約は終わっています。解約の予告期間ではなく、明け渡しの期限と残された家財の扱いを事業者に確認します
- 解約の予告期間 — 「解約日の○か月前までに通知」のように決められていることが多く、通知してから解約日までの家賃もかかります
- 原状回復の特約 — 退去時の清掃費やクロスの張り替えなど、通常の決まりとは別に負担を定めた条項がないか
- 備え付けの設備 — エアコンや照明、給湯器などのうち、どれが貸主の物か
- 死後の解約・残置物の取り決め — 国土交通省と法務省が示した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」などを使い、死後の解約や家財の処理を任された受任者がいる契約もあります。その場合は受任者と管理会社に、誰がどこまで行うかを確認してから動きます
相続放棄を検討しているなら、解約と処分の前に専門家へ
退去期限があると、つい「先に部屋を空けてしまおう」と考えがちです。ですが、相続放棄を考えている方がいる場合、その順番は危険です。
- 相続放棄の期限 — 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所へ申述するものとされています
- 処分は承認とみなされる場合がある — 相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなすとされています(民法921条1号)。家財の売却や廃棄に加え、相続人として賃貸の契約を解約することが、事情によってはこれにあたると判断されるおそれがあります
一方で、財産を守るための行為(保存行為)は処分にあたらないとされています。ただ、どこまでが保存行為かは個別の事情で判断が分かれます。相続放棄を検討している方がいる場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、相続の方針が決まるまで解約も売却も廃棄も見合わせてください。そのあいだも家賃の扱いや退去日の調整が問題になるので、専門家に相談していることを管理会社・貸主にも伝えておくと、話が進めやすくなります。
退去日から逆算する6つの手順
借りていた方が亡くなっても契約が続く一般的な民間の賃貸借で、相続を承認する方向で方針が固まっている場合は、退去日から逆算して次の順に進めます。終身建物賃貸借の場合は、1・2の「解約」を「明け渡しの期限と残された家財の扱いの確認」に読み替えてください。
- 管理会社へ連絡する — 亡くなったことを伝え、解約の手続きと退去日、鍵の返却方法を確認します
- 契約書を確認する — 亡くなった時点で終わる契約(終身建物賃貸借)ではないか、解約予告の期間、原状回復の特約、備え付け設備の範囲を確かめます。家賃がいつまでかかるかは、ここで見えてきます
- 貴重品と書類を確保する — 通帳、印鑑、保険証券、年金や公共料金の書類、遺言書やエンディングノートを、他の物と分けて保管します。封筒や本の間に挟まった現金や書類もあるので、紙物はまとめて袋に入れないでください
- 相続の方針を相続人で確認する — 貴金属や骨董品など相続財産にあたりそうな品は、話し合いがつくまで動かさずにおきます。売る・手放すに進むのは、相続人全員の同意を得てからにしてください。相続放棄を検討している方がいる場合は、同意があっても先に進めず、専門家に相談し、相続の方針が決まるまで売却も廃棄も見合わせてください。形見分けの進め方は形見分けのマナーと進め方を参考にしてください
- 「残す・査定・処分」に分ける — 備え付けのエアコンや照明は貸主の物なので、売る物・処分する物には入れません。迷った物は処分側ではなく査定側へ。値が付きやすい物は遺品の買取で売れる物は?査定現場でよく値が付く10品目で紹介しています
- 処分が必要な物を、部屋のある市町のルールで出す — 詳しくは次の章で説明します
退去日が近い場合でも、1〜4を飛ばさないでください。部屋を空けてからでは、書類の行方や手放した物の説明がつかなくなります。
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賃貸ならではの注意点:ごみの出し方と共用部分
ごみは「部屋がある市町」のルールで出す
分別区分や粗大ごみの出し方は、滋賀県内でも市町ごとに違います。遠方にお住まいの相続人の方も、確認するのはご自身の住む市町ではなく、部屋がある市町の案内です。粗大ごみは収集の予約が要る市町も多く、退去日が迫ってからでは間に合わないことがあるので、早めに調べておきます。
集合住宅の場合は、建物のごみ置き場の使い方にも決まりがあります。一度に大量のごみを置くと、他の入居者や管理会社とのトラブルになりかねません。量が多いときは、収集日を分けるか、市町の処理施設への持ち込み(受け入れ条件や予約の要否を事前に確認)を検討してください。
家電4品目は通常のごみ収集では扱われない
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は家電リサイクル法の対象で、通常のごみ収集では扱われません。購入した小売店が分かる場合はその店へ、分からない場合は部屋がある市町に相談します。処分にはリサイクル料金と収集運搬料金がかかります。
なお、備え付けのエアコンは貸主の物なので、この対象から外して扱いを管理会社に確認します。亡くなった方が自分で取り付けたエアコンを残してよいか、取り外しが要るかも、契約と管理会社の案内によります。
共用部分と搬出の時間帯
階段や廊下、エレベーターは他の入居者と共用です。大型家具を運び出す日は、管理会社に搬出の予定を伝え、養生の要否や作業できる時間帯を確認しておくと安心です。
原状回復と敷金の考え方
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復は借りた当時の状態に戻すことではなく、借主の故意・過失や通常の使い方を超える使い方による損耗を元に戻すこととされています。年月が経って自然に傷んだ部分や、普通に暮らしていて生じた損耗の修繕費用は、家賃に含まれるという考え方です。
ただし、これはあくまでガイドラインの考え方で、契約に特約がある場合は、その内容によって負担が変わることがあります。退去の立ち会いで請求の内訳が示されたら、契約書の特約とあわせて確認し、分からない項目は説明を求めてください。
敷金は、賃貸借が終わって部屋を明け渡したあとに、未払いの家賃などを差し引いた残りが返還されるものとされています(民法622条の2)。返還金の受け取り方も相続の一部にあたるので、相続人で決めた方針と、相続放棄を検討中の方がいる場合は専門家の助言を確認してから進めます。
買取と処分は分けて考えます
退去前の片付けでも、買取できる物と処分が必要な物が混ざります。カタクルではこれを分けて扱います。
- 買取対象品は、古物商として査定し、買取します
- 処分が必要な家庭の不用品については、部屋がある市町のルールに沿った排出方法や、その市町の許可・委託を受けた業者への依頼をご案内します(相続人の方がお住まいの市町ではなく、ごみが出る部屋の市町のルールになります)。カタクルが古物商許可のみを根拠に、許可範囲外の家庭ごみを自社で収集・処分することはありません
遺品整理のご依頼で買取できる物が見つかった場合は、買取額をその分、作業料金から差し引きます。作業全体の流れと料金の考え方は、滋賀の遺品整理|料金と流れにまとめています。自分で進める部分と頼む部分の分け方は、遺品整理を自分でやる手順|進める順番と、業者に頼む場合との違いも参考にしてください。
よくある質問
Q. 賃貸の契約は、借りていた人が亡くなったら自動的に終わりますか?
一般的な民間の賃貸借では終わりません。部屋を借りる権利は相続人に引き継がれるとされているため、解約の手続きをするまで家賃が発生します。公営住宅は手続きが別なので、管理している県・市町に確認してください。ただし、「終身建物賃貸借」の契約は、借りていた方が亡くなった時点で終わり、借りる権利は相続されません(同居していた配偶者や60歳以上の親族は、亡くなったことを知った日から1か月以内に申し出れば住み続けられる場合があります)。この場合は、明け渡しの期限と残された家財の扱いを事業者に確認してください。また、どちらの契約でも、相続放棄を検討している方がいる場合は、解約が相続の承認とみなされるおそれがあるので、解約の前に弁護士や司法書士などの専門家へ相談し、相続の方針が決まるまで見合わせてください。死後の解約を任された受任者がいる契約では、受任者が手続きを担う取り決めになっていることがあります。
Q. 家賃はいつまでかかりますか?
一般的な民間の賃貸借では、契約で決めた解約の効力が生じる日までです。解約の予告期間は契約によって違うので、契約書と管理会社で確認してください。誰が解約を申し出るかも、相続人の間で確認してから管理会社に伝えます。終身建物賃貸借の契約は借りていた方が亡くなった時点で終わるので、亡くなった後の費用の扱いと明け渡しの期限を事業者に確認してください。
Q. 相続放棄を考えています。部屋の片付けを先に進めてもいいですか?
相続財産にあたる物を処分すると、相続を承認したものとみなされる場合があります。片付けや解約に手を付ける前に、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、相続の方針が決まるまで売却や廃棄は見合わせてください。退去日が迫っている場合は、専門家に相談中であることを管理会社・貸主にも伝えて、進め方を相談してください。
Q. 退去日までに片付けが間に合いそうにありません
分かった時点で、早めに管理会社・貸主に相談してください。事情によっては退去日を調整できる場合があります。そのうえで、貴重品と書類の確保、相続人での方針の確認を先に済ませておけば、残りの搬出や査定は人手を増やして短い日数で進める方法もあります。
Q. 出張買取の場合、クーリング・オフはありますか?
ご自宅にお伺いして買取する取引など、特定商取引法の訪問購入に該当する場合は、法定書面を受け取った日から8日以内であれば、契約を解除できる場合があります。一方で、品目や取引内容によっては訪問購入の規定が適用されない場合もあります。対象となる取引では、必要な書面をお渡しし、クーリング・オフや品物の引渡しに関するルールをご説明します。
退去日に追われても、順番だけは守る
賃貸の遺品整理は、家賃と退去日という期限があるぶん、持ち家よりも急かされます。それでも、管理会社への連絡と契約書の確認、貴重品と書類の確保、相続人での方針の確認を先に済ませておけば、残りは期限から逆算して進められます。終身建物賃貸借のように亡くなった時点で終わる契約なら、解約ではなく明け渡しの期限と残された家財の扱いの確認から始めます。相続放棄を検討している方がいる場合は、専門家に相談し、方針が決まるまで解約も処分も見合わせてください。
そして、価値の分からない物を処分してしまうことだけは、後から取り返しがつきません。判断に迷った品は、手放す前に写真を1枚。
📷 【迷った品は、手放す前に1枚】 気になる品を1枚送っていただければ、値が付きそうかの目安をお伝えします。相続人の方と確認してからにしたい品も、写真の相談なら物を動かさずに進められます。 写真でのご案内は概算です。正式な査定金額は、現物を対面で確認してからお伝えします。 → LINEで写真を送る
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